
住宅ローンの返済が以前より負担に感じられるようになったとき、「まだ滞納していないので相談するほどではない」「滞納してしまったら売却するしかない」と考えてしまうことがあります。
しかし、住宅ローンに関する相談先や対応方法は一つではありません。
返済中の金融機関への相談をはじめ、返済方法の変更、住宅ローンの借り換え、リースバック、通常の不動産売却、任意売却など、状況によって検討できる選択肢は異なります。
大切なのは、現在の状況を整理したうえで、自分が何を優先したいのかを明確にすることです。
特に確認しておきたいのが、次のような点です。
- 現在の家に住み続けることを希望しているか
- 家を手放すことも選択肢に入れているか
- 住宅ローンをまだ滞納していないか、すでに滞納しているか
- 金融機関との協議や同意が必要になる方法か
- 不動産会社、金融関連サービス、公的機関、一括査定サービスのどこへ相談するのか
住宅ローンの返済が苦しくなった場合、まずは返済中の金融機関へ相談することが基本です。
まだ滞納していない段階で相談することで、返済方法の見直しなどを含め、検討できる手段が多い場合があります。実際に利用できる対応は金融機関や契約内容、返済状況などによって異なるため、早い段階で現在の状況を伝えることが重要です。
一方、すでに返済を滞納している場合でも、状況を整理して相談先を検討することはできます。
この記事では、住宅ローンの返済に関係する相談先として、任意売却専門の「リトライ」、リースバックの「セゾンのリースバック」、住宅ローン比較・借り換えサービスの「モゲチェック」、公的機関である「住宅金融支援機構の返済方法変更」、不動産一括査定サービスの「すまいValue」を取り上げます。
単純な優劣や順位ではなく、「住宅ローンの返済が苦しいときに、どの相談先がどの段階に向いているか」という観点から違いを確認していきます。
なお、住宅ローン以外にも借入がある場合や、債務整理などの法的な手続きを検討する場合には、不動産会社や住宅ローン関連サービスだけで判断するのではなく、弁護士・司法書士などの専門家や法テラスなどの公的な相談窓口を利用する方法もあります。
この記事では個別の法律判断や債務整理の判断は行いません。具体的な状況に応じて、適切な専門家や関係機関へ相談してください。
住宅ローンの返済で相談できる5つの窓口
ここからは、任意売却・リースバック・借り換え・公的な返済方法の変更・通常売却の査定という5つの窓口を順に見ていきます。まだ滞納していない段階と、すでに滞納している段階とで選べる方法が変わります。記載している内容は各社・各機関の公式サイトで案内されているもので、実際に利用できるかどうかは個別の状況や審査、債権者との協議によって異なります。
リトライ|滞納前から相談できる任意売却専門の不動産会社

出典:リトライ公式サイト
リトライは、株式会社ネクサスプロパティマネジメントが運営する任意売却専門の不動産会社です。
住宅ローンの支払いが苦しくなってきた段階から、すでに延滞している段階まで相談できると案内しています。
任意売却は、住宅ローンが残っている不動産について、債権者である金融機関などの同意を得ながら売却を進める方法です。
通常の不動産売却とは異なり、任意売却には債権者の同意が必要です。相談したからといって必ず任意売却が成立するわけではありません。
そのため、任意売却を検討するときは、現在のローン状況や滞納状況などを整理し、金融機関との協議を含めて進め方を確認することが重要です。
リトライのサービス概要
リトライでは、住宅ローンの返済が苦しくなった人や、すでに返済を延滞している人などから任意売却に関する相談を受け付けています。
メール相談とLINE相談に対応しており、何度でも無料で相談できると案内されています。
また、公式サイトには、ローン残額、借入残期間、現在の状況を選択して進める自己診断が用意されています。
「自分の状況では何から確認すればよいのか分からない」という場合に、現状を整理する入口として利用を検討できます。
リトライの特徴
リトライの特徴は、任意売却を専門としていることです。
公式サイトでは、差押えが入った物件、管理費や修繕積立金を滞納している物件、多重債務があるケースなどについて、対応事例が公開されています。
これらは公式サイトで公開されている事例であり、同じ状況であれば同じ結果になることを示すものではありません。
不動産や住宅ローンを取り巻く条件は個別に異なるため、実際にどのような対応が可能かは相談して確認する必要があります。
また、銀行との連絡や打合せを代行すると案内している点も特徴です。
ただし、金融機関との協議内容や任意売却への同意の可否は個別の状況によって異なります。
リトライの相談料金
リトライでは、何度でも無料で相談できると案内されています。
まず相談したうえで、現在の住宅ローンの状況や物件の状況について確認したい場合に利用を検討できます。
任意売却を実際に進める場合の条件については、相談時に内容を確認しておくことが大切です。
リトライが検討対象になりやすい状況
リトライは、住宅ローンの返済が苦しくなり、家を手放すことも含めて任意売却を検討している場合の相談先の一つです。
まだ滞納していない段階でも相談できると案内されているため、「返済を続けることが難しくなりそうなので、売却も含めて選択肢を知っておきたい」という段階でも相談できます。
また、すでに滞納している場合や、物件に差押えが入っている場合などについても公式サイトで対応事例が公開されています。
ただし、状況が似ていても利用できる方法や結果が同じになるとは限りません。
任意売却で理解しておきたいこと
任意売却を検討するときに特に重要なのが、債権者の同意が必要であることです。
所有者だけの判断で必ず成立させられる方法ではありません。
売却条件などについて債権者との協議が必要となり、同意を得られなければ任意売却が成立しない場合があります。
また、任意売却によって不動産を売却しても、売却によって住宅ローンを完済できるとは限りません。
売却後に残債がある場合、その後の支払い方法については債権者との協議となります。
引越しに関する費用などについても、状況や債権者との協議によって異なるため、受け取れることを前提に資金計画を立てないことが重要です。
滞納と信用情報について
住宅ローンを滞納すると、その状況によって信用情報に記録が残ることがあります。
ここで注意したいのは、「任意売却を選んだから信用情報に記録される」「競売になったから記録される」と単純に区別するものではないことです。
任意売却でも競売でも、住宅ローンを滞納している事実があれば、その滞納状況によって信用情報に影響する可能性があります。
信用情報について個別の判断が必要な場合は、関係機関などで確認してください。
リトライを検討するときのポイント
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、最初から任意売却だけに方法を絞る必要はありません。
まず返済中の金融機関へ相談し、返済方法の見直しなどが可能か確認したうえで、売却を含めた対応が必要になった場合に任意売却専門の相談先を検討する流れも考えられます。
一方、すでに滞納している場合や売却を具体的に検討している場合には、現在の状況を整理して早めに相談することが大切です。
リトライは、任意売却の仕組みや進め方について相談したい場合に比較対象となるサービスです。
セゾンのリースバック|売却後も賃貸として住み続ける方法を相談できるサービス

セゾンのリースバックは、株式会社セゾンファンデックスが提供するリースバックサービスです。
リースバックとは、自宅を売却したあと、買主と賃貸借契約を結んで、その家に賃貸として住み続ける仕組みです。
「住宅ローンの負担は見直したいが、できれば今の家に住み続けたい」という場合に比較対象となります。
ただし、リースバックでは売却後に家賃が発生します。
また、住宅ローンの残債と売却額の関係などによっては利用できない場合があります。売却価格だけでなく、売却後の家賃や賃貸借契約の内容まで確認して判断することが重要です。
セゾンのリースバックのサービス概要
セゾンのリースバックでは、自宅をセゾンファンデックスが直接買い取り、その後は賃貸として住み続ける仕組みを提供しています。
公式サイトでは、普通賃貸借契約によって長く住み続けられると案内しています。
ただし、実際の契約条件は個別に確認する必要があります。
無料査定や資料請求の窓口も設けられているため、まず自宅について相談し、売却条件や賃貸借契約の内容を確認できます。
セゾンのリースバックの特徴
一般的な不動産売却では、売却後に物件を引き渡して別の住居へ移ることになります。
リースバックでは、売却した自宅について賃貸借契約を結ぶことで、売却後も同じ家で生活を続けるという選択肢があります。
そのため、「自宅を手放すことは検討できるものの、生活環境はできるだけ変えたくない」という場合に比較しやすい方法です。
ただし、「売却後も必ず住み続けられる」と考えるのではなく、査定結果や住宅ローン残債、契約条件などを確認する必要があります。
セゾンのリースバックの費用
公式サイトでは、事務手数料、調査費、礼金、更新手数料は不要と案内されています。
一方、保証会社との賃貸借保証契約が必要で、保証委託料が発生します。
さらに、リースバックでは売却後に家賃を支払いながら生活することになります。
そのため、「売却できるか」だけで判断するのではなく、売却後の家賃を家計の中で継続して負担できるかを確認することが重要です。
住宅ローン返済が苦しい場合の利用
公式サイトでは、想定する悩みとして、毎月の住宅ローン返済が重い場合や、住宅ローンが残っている状態で住み替えを考えている場合などを挙げています。
ただし、住宅ローンが残っている物件ならすべてリースバックを利用できるわけではありません。
住宅ローンの残債と自宅の売却額の関係によっては、利用できない場合があります。
住宅ローンが残っている場合には、抵当権の扱いなども関係するため、売却できる条件を事前に確認する必要があります。
売却価格と家賃を確認する
リースバックを検討するときは、売却価格だけを比較するのでは不十分です。
売却後には家賃が発生するため、今後の家計を考えるうえでは家賃負担の確認が重要になります。
また、賃貸借契約の内容や住み続けるための条件についても契約前に確認しておく必要があります。
「自宅に住み続けられる」という点だけではなく、売却条件とその後の居住条件を一体として確認することが大切です。
セゾンのリースバックを検討するときのポイント
セゾンのリースバックは、「自宅を売却することは選択肢に入るが、売却後も同じ家に住む方法を検討したい」という場合の比較対象です。
一方、住宅ローンを滞納する前で、現在の住宅ローンそのものを見直したいのであれば、まず返済中の金融機関への相談や借り換えなど、売却を伴わない方法を確認することも考えられます。
リースバックを利用できるかどうかは物件やローン残債、査定結果、契約条件などによって異なるため、事前の確認が欠かせません。
モゲチェック|滞納前に住宅ローンの借り換えを検討したい場合の比較サービス

出典:モゲチェック公式サイト
モゲチェックは、株式会社MFSが運営する住宅ローンの比較・借り換えサービスです。
住宅ローン診断に登録すると、ネット銀行、メガバンク、地方銀行などの主要銀行をまとめて比較できる仕組みがあります。
住宅ローンの返済負担が気になっているものの、まだ滞納しておらず、自宅を売却するのではなく住宅ローンそのものを見直したい場合に比較対象となります。
ただし、住宅ローンの借り換えには審査があります。
利用すれば借り換えが成立するというものではなく、すでに滞納がある場合には借り換えが難しくなることがあります。
モゲチェックのサービス概要
モゲチェックでは、住宅ローン診断を通じて複数の金融機関を比較できます。
一部の金融機関については申込みの代行にも対応しています。
また、プロのアドバイザーにメッセージで無料相談できる仕組みがあります。
住宅ローンに関する情報やシミュレーションも公開されており、現在の住宅ローンと借り換え候補を比較検討するときに利用できます。
モゲチェックの特徴
住宅ローンの返済が苦しいからといって、必ず自宅を売却する必要があるとは限りません。
まだ返済を続けられている段階であれば、返済中の金融機関へ相談するとともに、借り換えによって条件を見直せる可能性があるか確認する方法もあります。
モゲチェックは、複数の金融機関を比較しながら住宅ローンを検討できる点が特徴です。
ただし、実際に借り換えできるかどうかや借り換え後の条件は審査結果などによって異なります。
モゲチェックの利用料金
住宅ローン診断や、アドバイザーへのメッセージ相談は無料と案内されています。
ただし、住宅ローンを実際に借り換える場合には、金融機関との契約に伴う諸費用が発生することがあります。
そのため、返済条件だけではなく、借り換えに必要となる諸費用も含めて検討することが大切です。
借り換えと滞納の関係
借り換えは、基本的に新しい住宅ローンについて審査を受ける手続きです。
そのため、申し込めば必ず借り換えられるものではありません。
特に住宅ローンの滞納がある場合には、借り換えが難しいことがあります。
返済が苦しくなってきたものの、まだ滞納していないのであれば、返済中の金融機関へ相談するとともに、借り換えを検討できる状況か確認することには意味があります。
自宅に住み続けたい場合の選択肢
モゲチェックによる借り換えは、自宅を売却することを前提としたサービスではありません。
そのため、「現在の家に住み続けたい」「まだ滞納していない」「住宅ローンの条件を見直せるか確認したい」という場合に比較しやすいサービスです。
ただし、借り換え後の負担がどのようになるかは条件によって異なります。
現在のローンと新しいローンの条件、必要な諸費用などを確認して判断することが重要です。
モゲチェックを検討するときのポイント
返済が苦しくなったときに、まず確認したいのは現在借りている金融機関で対応できることがないかという点です。
そのうえで、まだ滞納しておらず、借り換えによる住宅ローンの見直しを希望する場合には、モゲチェックのような比較サービスを利用する方法があります。
一方、すでに滞納している場合や、自宅の売却を具体的に検討している場合には、借り換え以外の相談先についても確認したほうがよいでしょう。
住宅金融支援機構の返済方法変更|返済条件の見直しを相談できる公的機関のメニュー

住宅金融支援機構では、機構の融資を返済中の人を対象に、返済方法変更メニューを用意しています。
離職や病気などによって収入が減少した場合、しばらく返済額を抑えたい場合、ボーナス返済が負担になっている場合など、事情に応じたメニューがあります。
自宅を売却する方法ではなく、現在の住宅ローンについて返済方法の変更を相談する選択肢です。
住宅金融支援機構の返済方法変更の概要
返済方法変更メニューには、収入減少などの事情に対応するもの、一時的な返済負担を調整するもの、ボーナス返済の負担を見直すものなどがあります。
条件に応じてメニューを組み合わせられる場合もあります。
また、高齢の利用者などについては、一定の条件を満たした場合に利用を検討できる返済特例も案内されています。
公的機関のメニューであることが特徴
住宅金融支援機構の返済方法変更は、機構の融資を返済している人を対象とした公的なメニューです。
民間の不動産会社へ自宅の売却を相談する方法や、新しい金融機関へ住宅ローンを借り換える方法とは性質が異なります。
現在の契約を前提として返済方法の変更を相談するため、自宅を売却せず返済を続けたい場合に、まず確認したい選択肢の一つとなります。
返済方法変更の手数料
返済方法変更については、一定の条件のもとで手数料不要と案内されています。
ただし、利用できるメニューや適用条件については個別に確認する必要があります。
「公的なメニューだから希望すれば利用できる」というものではない点には注意が必要です。
申請は返済中の金融機関へ相談する
返済方法変更を希望する場合、申請手続きは返済中の金融機関へ相談する形となっています。
適用できるかどうかについては審査があります。
したがって、返済負担が大きくなってきた場合には、滞納するまで待つのではなく、返済中の金融機関へ状況を伝えて相談することが重要です。
自宅に住み続けたい場合との相性
返済方法変更は、不動産を売却することを前提としていません。
そのため、機構の融資を利用しており、「できれば現在の家に住み続けながら返済方法を見直したい」という場合に確認したい方法です。
ただし、希望する変更が認められるかは審査や個別の条件によって異なります。
返済方法を変更した場合の今後の返済計画についても、金融機関と確認することが大切です。
住宅金融支援機構の返済方法変更を検討するときのポイント
住宅ローン返済が苦しくなってきたときは、滞納前の段階で相談することが重要です。
住宅金融支援機構の対象となる融資を返済しているのであれば、まず返済中の金融機関へ相談し、返済方法変更の対象となるか確認できます。
売却を決める前に、現在の契約の中で返済方法を見直せないか確認したい場合に適した相談先です。
すまいValue|自宅を通常売却する場合の査定をまとめて依頼できるサービス

すまいValueは、不動産会社が共同で運営している不動産一括査定サービスです。
マンション、一戸建て、土地などについて、物件の種別や所在地などを入力し、運営会社へ無料で査定を依頼できます。
物件の所在地や種別によって、査定を依頼できる会社は異なります。
住宅ローンの返済が苦しくなり、「自宅を売却する場合、どのような条件になるのか確認したい」というときの比較対象です。
すまいValueのサービス概要
すまいValueは、不動産の査定をまとめて依頼できるサービスです。
通常の不動産売却を検討している人が、自宅について査定を依頼し、売却を検討するために利用できます。
公式サイトには、売却相場、売却の流れ、利用者の体験談などの情報ページも用意されています。
体験談は個別の事例であり、同様の結果を保証するものではありません。
すまいValueの特徴
住宅ローンの返済が苦しくても、ローンの状況や不動産の査定結果によっては通常売却を検討できる場合があります。
すまいValueでは複数の不動産会社へ査定を依頼できるため、自宅を売却した場合の条件を検討するための材料を集める用途があります。
ただし、査定結果は実際の売却価格を保証するものではありません。
売却できる条件や時期などについては、個別に確認する必要があります。
すまいValueの査定料金
すまいValueでは、不動産の一括査定を無料で依頼できます。
物件の所在地や種別によって査定可能な会社が異なるため、すべての物件で同じ会社へ査定依頼できるわけではありません。
また、査定を受けることと実際に売却することは別です。査定結果や売却条件を確認したうえで検討することが大切です。
住宅ローンが残っている場合の確認事項
住宅ローンが残っている自宅を売却するときは、ローン残債と売却額の関係を確認する必要があります。
通常売却によって住宅ローンを完済できる条件であれば、一般的な不動産売却として進められる場合があります。
一方、売却しても住宅ローンを完済できない状況では、抵当権の扱いなどについて金融機関との調整が必要になる場合があります。
そのような状況では、通常売却だけでなく任意売却など別の方法について相談することも考えられます。
自宅を手放すことを検討している場合
「現在の家に住み続けることにはこだわらず、売却によって住宅ローンの状況を整理できるか確認したい」という場合は、まず自宅の査定を取る方法があります。
査定によって、自宅についてどのような評価が示されるのかを確認できます。
ただし、査定額だけで住宅ローンに関する判断をせず、ローン残債や売却に伴う条件なども併せて整理することが重要です。
すまいValueを検討するときのポイント
すまいValueは任意売却専門サービスではなく、不動産の一括査定サービスです。
そのため、通常売却を検討するために自宅の査定情報を集めたい場合に比較しやすいサービスです。
すでに住宅ローンを滞納している場合や、通常売却ではローンを完済できない可能性がある場合には、返済中の金融機関や任意売却を扱う不動産会社など、状況に応じた相談先も併せて検討する必要があります。
住宅ローンの返済が苦しいときの相談先を比較
ここまで紹介したサービスは、いずれも住宅ローンや自宅の売却に関係しますが、役割はそれぞれ異なります。
重要なのは、「どのサービスが優れているか」ではなく、現在どの段階にあり、家を今後どうしたいのかという基準で比較することです。
| サービス・相談先 | 相談先の種類 | 家に住み続けたい場合 | 手放すことを検討する場合 | 滞納前 | 滞納後 | 債権者の同意・審査など | 費用・サービスの特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リトライ | 任意売却専門の不動産会社 | 任意売却後の居住については個別の状況や協議による | 任意売却を検討する場合の相談先 | 相談可能 | 相談可能 | 任意売却には債権者の同意が必要 | 何度でも無料相談と案内 |
| セゾンのリースバック | リースバック | 売却後に賃貸として住む方法を検討できる | 自宅を売却することが前提 | 検討可能 | 個別条件の確認が必要 | ローン残債と売却額の関係などにより利用できない場合がある | 一部手数料等は不要。保証委託料と売却後の家賃が必要 |
| モゲチェック | 住宅ローン比較・借り換えサービス | 売却せず借り換えを検討 | 売却を目的としたサービスではない | 比較検討しやすい | 借り換えが難しい場合がある | 新たな住宅ローンの審査が必要 | 診断・メッセージ相談は無料。借り換えには諸費用がかかる場合がある |
| 住宅金融支援機構の返済方法変更 | 公的機関 | 現在の返済方法を見直して住み続けたい場合に確認 | 売却を目的とした制度ではない | 早めの相談を検討 | 状況に応じて金融機関へ相談 | 適用には審査がある | 条件により手数料不要 |
| すまいValue | 不動産一括査定 | 通常売却では基本的に売却後の転居を想定 | 通常売却を検討する場合 | 査定可能 | ローン状況によって別の相談先も検討 | ローン残債と売却条件などの確認が必要 | 一括査定は無料 |
※各サービスを利用できるかどうかや、住宅ローンに関してどのような対応が可能かは、契約内容、返済状況、物件、審査、債権者との協議などによって異なります。
住宅ローンの返済が苦しいときの相談先の選び方
住宅ローンの返済に不安を感じたときは、サービス名から選ぶよりも、現在の状況を順番に整理すると相談先を判断しやすくなります。
まず返済中の金融機関へ相談する
住宅ローン返済が苦しくなった場合、基本となるのは返済中の金融機関へ相談することです。
特にまだ滞納していないのであれば、返済方法について相談できる可能性があります。
利用できる対応は金融機関や契約内容によって異なりますが、滞納してから相談するのではなく、返済が難しくなりそうだと感じた段階で連絡することが重要です。
住宅金融支援機構の対象となる融資を利用している場合には、返済方法変更メニューについて返済中の金融機関へ相談することもできます。
家に住み続けたいか、売却を受け入れられるかを整理する
次に考えたいのが、現在の家に住み続けることをどの程度優先するかです。
住み続けることを希望する場合には、まず金融機関への相談や返済方法変更、条件が合えば借り換えなど、売却を伴わない方法を確認することが考えられます。
自宅を売却しても同じ家で生活を続ける方法を検討するなら、リースバックも比較対象になります。
ただし、リースバックは自宅の所有権を手放す方法であり、売却後には家賃が発生します。ローン残債と売却額の関係などによって利用できない場合もあるため、売却価格と賃貸借契約の双方を確認する必要があります。
家を手放すことを選択肢に入れられる場合は、通常売却の査定や任意売却について情報を集めることができます。
滞納前なら売却以外の方法も含めて確認する
まだ住宅ローンを滞納していない場合には、返済方法の変更や借り換えなど、売却を伴わない方法も含めて検討しやすい段階です。
借り換えには審査があり、必ず利用できるわけではありません。また、借り換えに伴う諸費用についても確認する必要があります。
そのため、「借り換えれば問題が解決する」と考えるのではなく、現在のローンを継続した場合と借り換えた場合について条件を比較することが大切です。
すでに滞納している場合は現在の状況を正確に伝える
すでに住宅ローンを滞納している場合も、金融機関から届いている書面などを確認し、現在の状況を整理して相談することが大切です。
滞納があると、借り換えが難しくなる場合があります。
また、滞納の状況によっては信用情報に記録が残ることがあります。
任意売却と競売のどちらを選ぶかだけで信用情報への影響が決まるものではなく、住宅ローンを滞納している事実によって信用情報に影響する可能性がある点を理解しておきましょう。
通常売却と任意売却の違いを理解する
自宅を売却する場合でも、通常売却と任意売却では条件が異なります。
通常売却では、住宅ローンが残っている場合、売却に伴って抵当権を抹消できるかなどを確認する必要があります。
一方、任意売却は、通常の方法では住宅ローンを完済できない場合などに、債権者と協議し、同意を得たうえで売却を進める方法です。
任意売却には債権者の同意が必要であり、必ず成立するものではありません。
また、売却後に住宅ローンの残債が残る場合があります。
その場合の支払い方法は債権者との協議によって決まるため、売却しただけで残債がなくなると考えないことが重要です。
住宅ローン以外の借入がある場合は専門家への相談も検討する
住宅ローンだけではなく、カードローンやその他の借入などもあり、家計全体の返済について整理する必要がある場合もあります。
また、債務整理など法的な手続きを検討するケースでは、不動産会社や住宅ローン比較サービスだけで判断することは適切ではありません。
そのような場合には、弁護士・司法書士などの専門家や、法テラスなどの公的な相談窓口へ相談する選択肢があります。
どの法的手続きが適しているかは個別事情によって異なるため、この記事だけで具体的な判断を行わず、専門家へ事情を伝えて確認してください。
相談する前に整理しておきたい情報
住宅ローンについて金融機関や各サービスへ相談するときは、現在の状況をあらかじめ整理しておくと話を進めやすくなります。
返済中の金融機関
まず、現在住宅ローンを返済している金融機関を確認します。
住宅ローンが複数に分かれている場合などは、それぞれについて確認しておくとよいでしょう。
ローン残高と残期間
現在の住宅ローン残高と、返済がどの程度残っているのかを確認します。
任意売却や通常売却、リースバックなどを検討する場合には、住宅ローン残債と不動産の売却条件との関係が重要になります。
滞納の有無と状況
まだ滞納していないのか、すでに滞納があるのかを整理します。
滞納がある場合は、その状況を正確に相談先へ伝えることが重要です。
金融機関などから届いている書面
金融機関や関係機関から書面が届いている場合には、処分せず内容を確認し、相談時に提示できるようにしておきましょう。
書面の意味や法的な対応について判断が必要な場合には、弁護士・司法書士などの専門家へ相談することも検討してください。
家計の収支
毎月の収入と住宅ローン以外を含む支出について整理します。
現在の返済を続けられるのか、返済方法を変更した場合に家計を維持できるのか、リースバック後に家賃を負担できるのかなどを考えるためにも、家計全体を確認することが重要です。
住宅ローン返済に関するよくある質問
住宅ローンの返済が苦しくなったら、最初にどこへ相談すればよいですか?
まずは、住宅ローンを返済している金融機関へ相談することが基本です。
特にまだ滞納していない段階であれば、返済方法について相談できる場合があります。
そのうえで、借り換え、通常売却、リースバック、任意売却など、自分の状況に応じた相談先を比較するとよいでしょう。
まだ滞納していなくても任意売却について相談できますか?
リトライでは、住宅ローンの支払いが苦しい段階から相談できると案内しています。
ただし、任意売却を実際に行うには債権者の同意が必要で、相談したからといって必ず任意売却が成立するわけではありません。
まだ滞納していないのであれば、まず返済中の金融機関へ相談し、返済方法の見直しなど売却以外の選択肢も含めて確認することが大切です。
任意売却をすれば住宅ローンの残債はなくなりますか?
売却によって住宅ローンを完済できるとは限りません。
任意売却後も残債が残る場合があり、その後の支払い方法については債権者との協議になります。
個別の状況によって異なるため、売却前に残債の扱いについて確認することが重要です。
任意売却なら競売を回避できますか?
任意売却を検討することで別の売却方法について協議できる場合がありますが、競売を回避できることが保証されるものではありません。
任意売却には債権者の同意が必要であり、手続きの状況などによって結果は異なります。
すでに関係機関から書面が届いている場合などは、その内容を確認したうえで、金融機関や任意売却を扱う不動産会社などへ相談してください。法律上の判断が必要な場合は弁護士・司法書士などの専門家への相談も検討しましょう。
任意売却をすると引越し費用を受け取れますか?
引越しに関する費用を確保できるかどうかは、状況によって異なり、債権者との協議によります。
必ず受け取れるものではないため、引越し費用が得られることを前提として任意売却を検討することは避けたほうがよいでしょう。
具体的な取り扱いについては相談時に確認してください。
リースバックなら自宅に住み続けられますか?
リースバックは、自宅を売却したあとに賃貸借契約を結び、同じ家に賃貸として住む仕組みです。
ただし、利用できるかどうかは物件や住宅ローン残債、売却額、契約条件などによって異なります。
また、売却後には家賃が発生します。
売却価格だけでなく、家賃や賃貸借契約の内容を事前に確認することが重要です。
住宅ローンを滞納していても借り換えできますか?
住宅ローンの借り換えには審査があります。
滞納がある場合には借り換えが難しいことがあるため、利用できることを前提にしないほうがよいでしょう。
まだ滞納していない段階で返済が苦しくなってきた場合は、返済中の金融機関へ相談するとともに、借り換えを検討できる状況か確認する方法があります。
滞納すると信用情報に影響しますか?
住宅ローンを滞納すると、その状況によって信用情報に記録が残ることがあります。
これは任意売却か競売かという売却方法だけで決まるものではありません。どちらの場合でも、住宅ローンを滞納している事実があれば、その滞納状況によって信用情報に影響する可能性があります。
個別の信用情報について確認したい場合は、関係する信用情報機関などで確認してください。
自宅がいくらで売れそうか確認してから考えてもよいですか?
通常売却を検討する場合には、不動産査定によって自宅についてどのような評価が示されるか確認する方法があります。
すまいValueのような一括査定サービスを利用して情報を集めることもできます。
ただし、査定額は実際の売却価格を保証するものではありません。
また、住宅ローンが残っている場合には、ローン残債と売却条件の関係も確認する必要があります。
住宅ローン以外の借金もある場合はどこへ相談すればよいですか?
住宅ローン以外にも借入があり、返済全体について法的な整理を検討する場合には、弁護士・司法書士などの専門家へ相談する方法があります。
法テラスなどの公的な窓口を利用する選択肢もあります。
債務整理を含む具体的な法的手続きの適否は個別事情によって異なるため、不動産会社や比較サイトの情報だけで判断せず、必要に応じて専門家へ相談してください。
まとめ
住宅ローンの返済が苦しくなったときに大切なのは、特定の方法を最初から決めることではなく、現在の返済状況と、今後自宅をどうしたいのかを整理することです。
まずは返済中の金融機関へ相談することが基本です。特にまだ滞納していない段階では、返済方法の見直しや、条件が合えば借り換えなど、売却以外の方法も含めて検討できる場合があります。
住宅金融支援機構の対象となる融資を利用している場合には、返済方法変更について返済中の金融機関へ相談できます。
まだ滞納しておらず、現在の家に住み続けながら住宅ローンそのものを見直したい場合には、モゲチェックのような住宅ローン比較・借り換えサービスを利用して条件を確認する方法もあります。ただし、借り換えには審査があり、諸費用が発生する場合があります。
自宅を売却しても同じ家に住む方法を検討する場合には、セゾンのリースバックが比較対象となります。ただし、売却後には家賃が発生し、住宅ローン残債と売却額の関係によって利用できない場合があります。売却価格と賃貸借契約の内容を併せて確認することが重要です。
自宅を手放すことも選択肢に入れており、まず通常売却について検討したい場合には、すまいValueのような不動産一括査定サービスで自宅の査定情報を集める方法があります。
そして、住宅ローンの返済が苦しい段階やすでに滞納している段階で、通常売却ではなく任意売却について相談したい場合には、任意売却専門のリトライが相談先の一つとなります。
リトライでは、住宅ローンの支払いが苦しい段階から、すでに延滞している段階まで相談できると案内しています。メールやLINEで相談でき、何度でも無料で相談できるとしています。公式サイトには、現在の住宅ローンの状況を整理するための自己診断や、任意売却・競売についての解説、対応事例なども掲載されています。
ただし、任意売却には債権者である金融機関などの同意が必要であり、必ず成立するものではありません。
また、任意売却後に住宅ローンの残債が残る場合があり、その後の支払い方法は債権者との協議になります。引越しに関する費用などについても状況によって異なり、債権者との協議によるため、特定の結果を前提に判断しないことが重要です。
住宅ローン以外にも借入がある場合や、債務整理などの法的な手続きを検討する場合には、弁護士・司法書士などの専門家や法テラスなどの公的な窓口への相談も選択肢となります。
住宅ローンの返済について不安を感じたときは、問題が大きくなるまで待つのではなく、返済中の金融機関をはじめ、自分の状況に合った相談先から必要な情報を確認していくことが大切です。